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2017年 春号

  • 花言葉   望月 綾乃
    • ひと株にして大穴の庭芒(にはすすき)
    • 凛凛(りり)と身に沁(し)む山茶花の花ことば
    • 冬日(ふゆひ)に向き米粒の咲(ゑ)み鬼しばり
    • 書初めや片減り墨(すみ)も気にかけず
    • あし長を踏ませる冬の落暉(らくき)かな
    • 薄氷を踏んで枝折る水溜(た)まり
    • 寒明けといふ語の韻(ひび)き色なら黄


  • 薄氷    福田 白祇
    • 雪間には子雀遊びをりにけり
    • 薄氷を手でよけながら手を洗ふ
    • 早春の坂を登りて受ける風
    • 春雨のそこはかとなき土埃
    • たむぽぽや石垣のわずかな土に
    • すかんぽや少年時代をあれこれを
    • み仏の手のひらごつし雪解富士


  • 鹿の足跡  福田 歌子
    • 冬枯立ち独居に淡き影落とす
    • 雪掻きや鹿の足跡消しにけり
    • 富士山や師走の散歩長びいて
    • 振り返へる雪振り落とす笹の音
    • 冬雲に富士覆はれて友帰る
    • 富士ケ嶺にゴッホの絵画や寒鴉
    • 雪解けて倒木痛し樹海かな